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千葉地方裁判所 昭和57年(わ)460号 判決

裁判所書記官

橋本富美男

国籍

大韓民国

住居

千葉県山武郡横芝町横芝一、五一五番地

飲食店業兼貸金業

金光容原こと金容原

西暦一九三九年一月二七日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官永田俊明出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金三、八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金八万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、飲食店業及び貸金業を営むかたわら、個人で継続して株式の売買をし、太平工業株式会社ほか一九社の発行した株式について売買回数五〇回以上かつ売買株式数二〇万株以上の株式を売買していたのにこれを秘匿し、昭和五五年分の総所得金額が真実は二二六、九一一、三四〇円であったのにかかわらず、昭和五六年三月一六日、千葉県東金市東金八一〇番二号所在の所轄東金税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が五、七九七、九七四円で、これに対する所得税額が五四二、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により昭和五五年分の正規の所得税額一五四、〇〇〇、七〇〇円と右申告税額との差額一五三、四五八、一〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  熱田進昭(二通)、半田登、繁田清美(二通)及び畔蒜英雄(二通謄本)の検察官に対する各供述調書

一  熱田進昭(昭和五六年九月二二日付、同年一〇月一日付)、半田登、繁田清美(三通、うち二通謄本)及び曲山宏二(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  半田登作成の証明書二通(同年五月二六日付、同年一〇月一日付)及び申述書

一  浅野美弘作成の証明書

一  検察事務官永栄隆作成の報告及び電話聴取書

一  大蔵事務官丸山幸生作成の株式売買益調査書三通、株券(現物)の移動に関する調査書、支払利息調査書、租税公課調査書、水道光熱費調査書、通信費調査書、損害保検料調査書、減価償却費調査書、燃料費調査書、車両譲渡損調査書、医療費控除調査書、社会保険料控除調査書、生命保険料控除調査書及び脱税額計算書

一  押収してある所得税の確定申告書等一綴(昭和五七年押第一八七号の1)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書四通

一  被告人の大蔵事務官に対する同年六月三日付、同年九月二一日付、同年一〇月二日付及び同年一一月一〇日付各質問てん末書

(法令の適用)

一  罰条 昭和五六年法律第五四号附則五条により同法律による改正前の所得税法二三八条一項、二項(懲役刑と罰金刑を併料)

二  労役場留置 刑法一八条

三  執行猶予 懲役刑につき同法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 福嶋登)

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